マーケティング用語集カテゴリ:Web制作

Webパーソナライゼーション

Web Personalizationうぇぶ・ぱーそならいぜーしょん

英語表記
Web Personalization
カテゴリ
Web制作
難易度
★★★(応用)
関連サービス
Webサイト制作

Webパーソナライゼーションとは、訪問者の流入元・行動履歴・属性などに応じて、サイトに表示する内容を出し分ける仕組みのこと。全員に同じページを見せるのではなく、相手が今いる段階に近い情報を最初の画面に置くことで、少ない訪問数でも成果につながりやすくなります。

Why it matters

全員に同じ話をすると、全員にとって少しずつ的外れになる

1枚のページを全員に見せるとき、書き手は無意識に「平均的な訪問者」を想定します。ところが実際にサイトへ来ている人は、状況がばらばらです。検索で偶然たどり着いた初訪問の人、名刺交換のあとに会社を調べに来た人、見積もりを比較している最終段階の人、すでに取引があって資料を探しに来た人。この全員に届く1枚を書こうとすると、どの段階の人にとっても少しずつ的外れな内容になります。初訪問の人には前提説明が足りず、比較段階の人には基礎説明が長すぎる。誰も強く反応しないページは、内容が悪いのではなく、宛先が定まっていないことが多いのです。

Webパーソナライゼーションは、この宛先の問題を扱います。方式としては大きく2つあります。ひとつはルールベースで、「広告Aから来た人には見出しBを出す」「2回目以降の訪問者には事例を先に出す」のように、条件と表示内容を人が決めておく方式です。もうひとつは機械学習を使う方式で、閲覧や購入の履歴から個々の関心を推定し、表示を自動で最適化します。世の中で紹介される事例は後者が目立ちますが、中小企業が最初に手を付けて効果が出るのは、ほぼ例外なく前者です。理由は単純で、機械学習が力を発揮するには相応の量のデータが必要だからです。月に数百件の訪問しかないサイトで推定モデルを回しても、個人の好みではなく偶然を拾います。データが少ないうちは、人が知っている確かな区別のほうが精度が高いのです。

取り扱いの注意も先に押さえておきます。出し分けは訪問者の情報を使う以上、やりすぎれば不快になります。閲覧しただけの商品を執拗に追いかけて表示する、聞いていないはずの属性を言い当ててみせる。こうした表示は「便利」ではなく「見られている」という印象を与えます。制度面でも、日本では改正個人情報保護法が2022年4月に全面施行され、Cookieなどの情報を第三者に提供して個人データとして扱われる場合には、本人の同意を確認する対応が求められるようになりました。ブラウザ側でも、SafariやFirefoxはサードパーティCookieを既定で制限しています。つまり、他社サイトでの行動を横断的に追う前提の設計は、技術的にも制度的にも土台が弱くなっているということです。これからの現実的な基準は、自社サイト内での行動と、顧客が自ら教えてくれた情報を使う範囲に置くことです。

Our perspective

出し分けの目的は当てにいくことではなく、相手を待たせないこと。

顧客心理の視点で見ると、良い出し分けは「自分向けだ」と気づかれません。訪問者が感じるのは「探していたものが最初のページにあった」という手応えだけです。逆に、当てにいった表示は不快の側に振れます。名前を呼びかける、閲覧履歴をそのまま見せる、といった演出は、届いた瞬間に「追跡されている」という印象を生みます。境目は分かりやすいところにあります。顧客が自分から教えてくれた情報(どこから来たか・何を見たか・何を選んだか)を使うのは自然、教えていない情報を言い当てるのは不自然。この線を守るだけで、ほとんどの気持ち悪さは避けられます。実務的な効き目が最も大きいのは、初訪問と再訪問の区別です。初めての人には「何をしている会社か」を、再訪問の人には「導入の条件と進め方」を先に出す。たった2種類でも、相手が知りたい順番と噛み合うため、体感は明確に変わります。

仕組み化の視点では、3〜4種類の区別から始めて、記録を残しながら増やすのが現実的です。手順は4つ。①訪問者を分ける軸を1つだけ決める(初訪問か再訪問か、あるいは流入元がどこか)②その区別ごとに変えるものを1か所に絞る(多くの場合は最初の画面の見出しと、並べる事例)③2週間から1か月、同じ条件で成果を比べる ④「この区別では、こう変えたら反応が変わった」を1行で記録する。この記録が溜まるほど、次の出し分けの精度が上がります。逆に避けたいのは、最初から10通りの分岐を作ることです。分岐が増えるほど検証に必要な件数が増え、どれも判断できないまま管理だけが重くなります。運用できる分岐の数は、月あたりの訪問数で決まると考えたほうが安全です。さらに、出し分けはWebサイトの中だけで完結させず、メールや営業の話し方と揃えると効きます。同じ相手に、サイトとメールで別々の前提の話をすれば、せっかくの出し分けは打ち消し合います。

AI活用の視点では、2つの役割で使えます。ひとつは区別の設計です。問い合わせの内容や商談での質問をまとめて渡し、「訪問者を分けるとしたら、どの軸が最も判断に効くか」を検討させる。人が思いつく軸は業種や規模に偏りがちですが、実際に効くのは「導入時期が決まっているか」「社内に担当者がいるか」といった状況の軸だったりします。もうひとつは出し分ける文面の量産です。3種類の入口それぞれに合う見出しを作る作業は手間がかかりますが、方針を与えれば候補出しは任せられます。ARGASのような追跡の仕組みがあれば、どの経路の訪問者がどのページで離れているかが分かるため、出し分けの効果を実データで確認できます。訪問数が十分に増えた段階で、レコメンドのような自動最適化に進む判断をすればよく、順番としてはルールで型を作り、データが溜まってからAIに任せるのが失敗の少ない道筋です。

Diagram

図解:出し分けの4段階と、必要になるもの

左から右へ、出し分けの細かさが上がっていきます。中小企業がまず取り組むのは②の段階で、③以降は訪問数とデータが溜まってからの選択肢です。

全員に同じ話をすると、全員にとって少しずつ的外れになる 右へ行くほど細かくなるが、必要な訪問数とデータも増える ① 全員に同じ 1枚のページを 全訪問者に表示 必要なもの 特になし(現状) ② 入口で分ける 流入元・初訪問か 再訪問かで出し分け 必要なもの 簡単なルール設定だけ ③ 行動で分ける 閲覧ページ・資料請求 など自社内の行動 必要なもの 行動の記録と顧客の統合 ④ 1人ずつ最適化 AIが個々の関心を 推定して自動で調整 必要なもの 十分な訪問数と学習データ どの段階でも、出し分ける対象は同じ4つ 最初の見出し 並べる事例 CTAの文言 次に見せるページ 当てにいくのではなく、待たせないために分ける

Case studies

事例で見る:国内・海外

海外

AmazonとNetflix ── 「同じ画面を見ている人は誰もいない」設計

Webパーソナライゼーションを語るとき、最も広く知られているのがAmazonの推薦表示です。閲覧や購入の履歴にもとづき、利用者ごとに異なる商品が並ぶ仕組みは、いまでは通販サイトの標準になりました。Netflixも、利用者ごとに作品の並び順を変えるだけでなく、同じ作品でも人によって表示するサムネイル画像を変える取り組みを自社で公開して説明しています。俳優が好きで選ぶ人と、物語の雰囲気で選ぶ人では、目に留まる1枚が違うという考え方です。ここから中小企業が学べるのは、規模の大きさではなく着眼点のほうです。変えているのは商品そのものではなく、最初に目に入る1枚と、並べる順番だけ。同じ商品・同じサービスであっても、誰に向けた説明かを変えるだけで受け取られ方は変わります。自社サイトに置き換えれば、扱う内容を増やさずに、入口ごとに見出しと事例の順番を変えるところから始められます。両社の推薦精度や売上への寄与を示す数値は公表内容や時期によって異なるため、ここでは扱いません。

How to use

現場での使い方:5ステップ

  1. 分ける軸を1つだけ決める初訪問か再訪問か、あるいは流入元がどこか。最初から属性で細かく割らない。運用できる分岐の数は月間の訪問数で決まる。
  2. 変える場所を4か所に絞る最初の見出し・並べる事例・CTAの文言・次に見せるページ。それ以外は共通のままにして、管理を軽くする。
  3. 顧客が教えてくれた情報だけを使うどこから来たか、何を見たか、何を選んだか。教えていない属性を言い当てる表示は、便利ではなく監視として受け取られる。
  4. 経路ごとの成果を月単位で比べる全体の件数では効果が埋もれる。どの入口の人がどこで離れたかを見て、噛み合っていない分岐だけを直す。
  5. 効いた区別を1行で記録する「紹介経由には料金を先に出すと反応が変わった」を残す。この蓄積が、次の出し分けとメール・営業トークの前提になる。
Related terms

関連用語

Summary

まとめ:宛先を決めると、同じ内容でも届き方が変わる

Webパーソナライゼーションは、訪問者の状況に応じてサイトの表示を出し分ける仕組みです。全員に届く1枚を書こうとすると、どの段階の人にも少しずつ的外れな内容になります。中小企業が最初に効果を出せるのは、AIによる自動最適化ではなく、入口による3つ程度の分岐です。変えるのは見出し・事例・CTA・次のページの4か所だけでよく、使う情報は顧客が自ら教えてくれた範囲にとどめます。当てにいく表示は監視として受け取られ、逆効果になるからです。区別の設計と文面の候補出しはAIに任せ、採用の判断は経路ごとの実績で行う。訪問数とデータが溜まってから、自動最適化へ進めば十分です。相手が知りたい順番で情報が並べば、説得しなくても話は前に進みます。

関連サービス:Webサイト制作 — 流入経路ごとの出し分け設計から、入口別ページの制作・計測・改善までを一貫して支援します。
カテゴリ:Web制作

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