MA・リード育成 CES (Customer Effort Score)
CES
CES (Customer Effort Score) しー・いー・えす
CES(Customer Effort Score/顧客努力指標)とは、顧客が目的を達成するまでにどれだけ手間がかかったかを測る指標です。「簡単に解決できましたか」と尋ね、その回答を数値化します。満足を足すのではなく、手間を減らす方向で改善点を見つけるための指標です。
WHY IT MATTERS
なぜ「満足」ではなく「手間」を測るのか
CESは、CEB(現在のGartner)の調査から生まれた指標です。顧客を感動させることよりも、手間をかけさせないことのほうが継続利用に結びつくという発見が背景にあり、Harvard Business Reviewの記事「Stop Trying to Delight Your Customers」で広く知られるようになりました。
この考え方が実務で役に立つのは、打ち手が具体的になるからです。「満足度を上げよう」という目標は、何をすればよいかが人によって変わります。一方「手間を減らそう」という目標なら、フォームの入力項目、回答までの待ち時間、たらい回しの回数といった、目に見える対象がすぐに挙がります。改善の議論が抽象論で止まりません。
設問は「御社は、私の用件を簡単に済ませてくれた」という文に対し、7段階でどの程度そう思うかを答えてもらう形が標準です。数値が低いほど、顧客はどこかで余計な労力を払っています。中小企業ほど、この「手間」は仕組みの穴として現れます。担当者が一人で抱えている、電話でしか受け付けていない、資料が見つけにくい。CESはその穴を、顧客側から指し示してくれます。
AUTOSELL の視点
顧客は、良い体験を探しているのではなく、面倒を避けている。減らせる手間から先に消す。
顧客心理の視点:顧客は「この会社は素晴らしい」と思って買い続けるより、「他に変えるほうが面倒だから続ける」という判断をしていることのほうが多いものです。逆に言えば、手間が一定を超えた瞬間に、比較検討が始まります。人は不便を我慢しているとき、それを言葉にして伝えてはくれません。黙って離れます。CESは、その沈黙の手前で不満の大きさを拾うための設問です。
仕組み化の視点:手間は、担当者の頑張りでは減りません。減るのは設計を変えたときだけです。問い合わせ前にFAQへ誘導する、フォームの必須項目を削る、返信を自動で一次応答する。こうした設計を一度組めば、以降は人が動かなくても手間が小さいまま保たれます。CESは、その設計変更が効いたかどうかを、前後の数値で確かめるための物差しになります。
AI・自動化との接点:スコアの下に「どこで手間がかかりましたか」という自由記述を1つ置き、その文章をAIで分類すれば、手間の発生箇所が件数の多い順に並びます。人が全文を読む必要はありません。ARGASのような顧客追跡システムと組み合わせれば、低いスコアを付けた顧客がその後どう動いたか(再訪したのか、離れたのか)まで追えるため、解約の予兆として扱えるようになります。
CASE STUDY
事例
CEB(現Gartner)の調査から生まれた指標
CESは、カスタマーサービスの現場を対象にしたCEB(現在のGartner)の研究から提唱されました。期待を超えるサービスで顧客を感動させるという従来のアプローチよりも、問題解決にかかる労力を下げるほうが、顧客の継続利用に結びつくという知見が出発点になっています。この考え方は現在、海外の主要なカスタマーサポートツールに標準の設問として組み込まれ、対応完了時に自動で送られる形で運用されています。
問い合わせフォームの手前で手間を測る例
例えばBtoBのサービスを扱う企業が、問い合わせ対応の完了メールに「今回の用件は簡単に済ませられましたか」の7段階設問を置いたとします。低いスコアが集まる原因を自由記述から追うと、「必要な資料の場所が分からず、まず問い合わせるしかなかった」という声が並ぶことがあります。ここで増やすべきは対応の丁寧さではなく、資料をサイト上で探せる状態にすることです。手間の発生箇所が問い合わせの前段にあると分かるのが、CESの実用的なところです。
HOW TO USE
現場での使い方
- 顧客が「作業」をする場所に設置する問い合わせ対応の完了時、フォーム送信後、初回設定の完了後。顧客が何らかの労力を払い終えた直後が、CESを聞くべき場所です。閲覧だけのページに置いても意味のある回答は返りません。
- 設問は「簡単だったか」の1問に固定する「簡単に済ませられましたか」を7段階で1問、その下に「どこで手間がかかりましたか」の自由記述を1つ。設問を増やすほど回答率は落ち、改善の材料は減ります。
- スコアではなく、記述を件数で並べるCESは平均値を追いかける指標ではありません。低評価に添えられた記述をAIで分類し、件数の多い手間から順に並べます。この一覧が、そのまま改善の順番になります。
- 手間を「減らす設計」に置き換える上位に来た手間を、人の対応ではなく仕組みで消します。項目を削る、FAQに導線を出す、自動返信で一次回答を返す。担当者の努力で埋めた場合、数値は翌月に戻ります。
- 変更の前後で同じ設問を比べる設計を変えたら、同じ接点・同じ設問で1か月分を比較します。手間の削減は効果が数値に出やすいため、小さな改善でも社内で成果を共有しやすくなります。
RELATED TERMS
関連用語
まとめ
手間が消えたぶんだけ、顧客は自然に前へ進む
CESは、顧客を喜ばせる方法を探す指標ではなく、顧客が引き返してしまう理由を探す指標です。労力を払い終えた直後に1問だけ尋ね、低いスコアに添えられた記述を件数順に並べ、上位のものから設計で消していく。この繰り返しは、担当者の頑張りに頼らずに続けられます。手間が小さくなった導線では、顧客は迷わず次の行動へ進みます。ARGAS(顧客追跡システム)では、スコアの自動収集と、低評価を付けた顧客のその後の行動追跡までを一体で設計します。

