マーケティング用語集カテゴリ:SNS

シェア率

Share Rateしぇありつ

英語表記
Share Rate
カテゴリ
SNS
難易度
★★☆(実務者向け)
関連サービス
SNS運用サポート

シェア率とは、投稿が届いた人のうち、どれだけの割合が他の人へ共有したかを示す指標のこと。共有された回数をリーチまたはSNSインプレッションで割って求めます。反応の中でいちばん数字が小さくなる指標ですが、自分のフォロワー圏の外へ投稿が出ていく経路は、実質これしかありません。だから小さい数字のまま、いちばん重く扱う価値があります。

Why it matters

いいねは「見た」の合図、共有は「自分の名前を貸す」行為

SNSの反応にはいくつか種類がありますが、起こすときの心理的な負担がまるで違います。いいねは指1本、誰にも見られずに済み、押しても自分の評価はほとんど変わりません。コメントは少し重く、文章を考える手間と、他人に見られる緊張があります。保存はもっと個人的で、「後で使うかもしれない」という自分だけの判断です。そして共有は、性質が別物になります。他人のタイムラインに自分の名前つきで投稿を差し出す行為だからです。内容がつまらなければ、あるいは誇張された宣伝であれば、評価が下がるのは投稿した企業ではなく共有した本人です。共有が起きにくいのは、内容が悪いからとは限りません。そもそも負担が大きい行動だからです。

この負担の大きさが、そのまま価値になります。共有が1件起きると、その人のフォロワーという、自社が普段まったく届かない集団に投稿が現れます。しかも「知らない会社の広告」としてではなく、「知っている人が紹介したもの」として現れる。同じ内容でも、受け取られ方が変わります。これはソーシャルプルーフが働く典型的な場面です。広告費で買えるのは表示枠であって、この推薦のニュアンスは買えません。フォロワー数が少ない中小企業にとって、外側へ出ていく数少ない経路がここにあります。

そのうえで、数字の扱いには注意が要ります。共有はもともと起こりにくい行動なので、比率にすると小さな値になります。他社や業界平均と比べても、投稿の種類も届いている層も違うため、ほとんど意味を持ちません。またプラットフォームによって、共有の数え方や公開範囲が異なります。ダイレクトメッセージで個別に送られた場合、集計に含まれるかどうかも一定ではありません。したがって使い方は「他社との比較」ではなく「自社の投稿どうしの比較」になります。どの投稿だけ極端に共有されたのか。その1本に、次に作るべき内容の答えが入っています。

もうひとつ押さえておきたいのは、共有率を上げようとして手段を間違えるケースです。「シェアしてください」と書き添えるだけなら害はありませんが、共有を条件にした景品配布は、集まる相手が景品目当ての層に偏ります。数字は跳ねますが、その後の反応率は落ち、届く先も顧客候補から離れていきます。プラットフォームによっては、こうした誘導に制限を設けている場合もあります。共有は買いに行くものではなく、共有したくなる理由を内容側に作るものだという整理が、結果的にいちばん近道になります。

Our perspective

人は企業のために共有しない。自分がどう見えるかのために共有する。

顧客心理の視点で見ると、共有という行動の動機は企業側にはありません。ニューヨーク・タイムズが行った「共有の心理」に関する調査が広く知られていますが、そこで挙げられている動機は、自分がどんな人間かを示すこと、価値ある情報を渡して人間関係を保つこと、関わりたい考えを広めること、といった共有する本人の側の理由でした。つまり顧客は、良い商品だから共有するのではなく、それを共有した自分が「役に立つ人」「見る目がある人」「同じ考えを持つ人」に見えるから共有します。ここから、共有される内容の条件が導けます。誰かに教えたら感謝されそうな実用情報、業界の内側にいる人しか知らない判断基準、言いにくかったことを代弁している主張、そして単純に見せたくなる出来のもの。逆に、共有されにくいのははっきりしています。自社の告知、受賞や実績の報告、キャンペーンの案内。これらを他人に転送する動機は、顧客の側に存在しません。共有されない投稿が悪いのではなく、共有する理由を顧客に用意していないだけです。ここを理解すると、企画の始まり方が「何を伝えたいか」から「誰が誰に渡したくなるか」へ変わります。

仕組み化の視点では、共有を偶然の当たりから、再現できる型に変えます。手順は四つです。①共有された投稿だけを抜き出して並べ、共通点を言葉にする。題材か、切り口か、形式か、受け取り手が誰かを特定する。②その共通点を「型」として文書化し、次の企画は型から作る。1本ずつ思いつきで作る運用は、当たり外れの振れ幅に耐えられません。③共有で外側へ出た人が着地する場所を整える。共有をきっかけに来た人は、自社をまったく知りません。プロフィールも、飛び先のページも、初見の人が読んで分かる状態にしておく必要があります。④着地した人を自社側に残る形へ変換する。共有はプラットフォーム内で完結すると一度きりの波で終わります。資料請求やメール登録に変換できていれば、波が引いた後も手元に残ります。中小企業ほど、この三つ目と四つ目が抜けたまま拡散を狙いがちです。届いても受け止められなければ、成果にはなりません。

AI活用の視点では、共有の理由を言語化する工程が任せどころです。共有された投稿と、されなかった投稿を並べて差を説明させる。自社の専門知識から「誰かに教えたくなる形」の切り口を大量に出させる。同じ内容を、実用情報型・主張型・比較型といった複数の型に書き分けさせて試す。人がいちばん詰まるのは、何を出すか決める工程と、なぜ伸びたかを説明する工程です。そこが軽くなると、検証の回転数が上がります。さらにARGASのような追跡の仕組みを組み合わせると、共有をきっかけに訪れた人がどのページを見て問い合わせに至ったかが残るため、拡散の量ではなく、実際に事業につながった型を選べるようになります。数字が跳ねた投稿と、売上につながった投稿は、しばしば別物です。

Diagram

図解:共有だけが、フォロワー圏の外へ出る

反応は、心理的な負担の順に並びます。負担が大きいものほど起きる回数は減りますが、届く範囲は広がります。共有が特別なのは、自社のフォロワー圏を越えた先に投稿を運ぶ唯一の反応だからです。

反応は、心理的な負担の順に並ぶ。重いものほど起きにくく、そのぶん遠くまで運ばれる 起こすときの負担 → いいね 指1本。誰にも見られない。よく起きるが、何も動かない コメント 言葉を考える手間と、人に見られる緊張がある 保存 「後で使う」という自分だけの判断。実用の価値を認めた合図 共有(シェア) 自分の名前をつけて他人に差し出す。外すと自分の評価が下がる = いちばん起きにくく、いちばん遠くへ届く 自社の フォロワー圏 共有した人のフォロワー さらにその先の層 「広告」としてではなく「知っている人の紹介」として現れる シェア率 = 共有された回数 ÷ リーチ 値は小さくて当たり前。他社と比べず、自社の投稿どうしを比べる ・共有された投稿だけを抜き出し、共通点を「型」にする ・外から来た人は自社を知らない。着地点を初見向けに整える ・連絡先へ変換しなければ、波が引いたときに何も残らない 共有を条件にした景品配布は数字だけを跳ねさせ、届く先を顧客候補から遠ざける。 共有は買いに行くものではなく、共有したくなる理由を内容側に作るもの。 人は企業ではなく、自分のために共有する

Case studies

事例で見る:国内・海外

海外

ニューヨーク・タイムズ ── 「なぜ人は共有するのか」を調べた古典的な調査

ニューヨーク・タイムズが自社の顧客インサイトグループを通じて実施した「The Psychology of Sharing(共有の心理)」という調査は、この分野で広く参照されてきました。そこで整理された共有の動機は、価値ある情報を他人に届けたい、自分がどんな人間かを示したい、人とのつながりを育てたい、自分の存在を確かめたい、関わりたい考えを広めたい、といったものでした。注目すべきは、挙げられている動機がすべて「共有する本人の側」にある点です。発信した企業への好意は、そこに含まれていません。ここから実務的な結論が出ます。共有されたいなら、企業が伝えたいことを整えるのではなく、受け取った人が「これを渡したら自分がどう見えるか」を想像できる形にする必要があります。なお、この調査で示された動機の分類は考え方の枠組みとして有用ですが、調査対象や時期が限られるため、具体的な比率や数値をそのまま自社の見込みに当てはめることはできません。

How to use

現場での使い方:5ステップ

  1. 共有数をリーチで割り、投稿ごとに記録する絶対数ではなく比率で見る。届いた人数が違う投稿どうしを、同じ土俵で比べられるようになる。値が小さいのは正常。
  2. 他社や業界平均と比べない共有の数え方も、届いている層も違う。比べる相手は自社の他の投稿だけ。時系列で自分の変化を追う。
  3. 共有された投稿だけを抜き出して型にする題材・切り口・形式・想定した受け取り手の四つで共通点を書き出す。次の企画は思いつきではなく、この型から作る。
  4. 「渡したくなる理由」を内容側に作る誰かに教えたら感謝される実用情報、判断の基準、言いにくかったことの代弁。自社の告知や実績報告は転送されない。共有を条件にした景品配布は使わない。
  5. 外から来た人の着地点と、連絡先への変換を用意する共有で届く相手は自社を知らない。プロフィールも飛び先も初見向けに整え、資料請求やメール登録へ変換する。ここが無いと波が引いて終わる。
Related terms

関連用語

まとめ

まとめ:共有される理由を、顧客の側に用意する

シェア率は、届いた人のうち何割が投稿を他人に渡したかを示す指標です。反応の中でもっとも起きにくく、そのぶんフォロワー圏の外へ出ていく唯一の経路になります。押さえるべき点は三つ。第一に、共有の動機は企業ではなく共有する本人の側にあること。だから企画は「何を伝えたいか」ではなく「誰が誰に渡したくなるか」から始めます。第二に、数字は他社と比べず、自社の投稿どうしで比べること。共有された1本を抜き出して型に落とせば、当たりを偶然から再現に変えられます。第三に、外へ出た先に受け止める場所を作ること。共有で来る人は自社を知らないため、着地点が初見向けに整っていなければ通り過ぎます。そして最後に、自社側へ残る形へ変換しておく。拡散の波は必ず引きますが、手元に残った連絡先は引きません。差の言語化や切り口の量産はAIに任せられますが、何を語る専門家であるかを決めるのは事業側です。顧客が自分の意思で誰かに渡したくなる。その状態をつくることが、広告費では買えない広がり方をつくる方法です。

関連サービス:SNS運用サポート — 共有される内容の型づくりから、拡散後の着地点設計、連絡先への変換までを支援します。
カテゴリ:SNS

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