マーケティング用語集カテゴリ:ローカルSEO

口コミマーケティング

Word of Mouth Marketingくちこみ・まーけてぃんぐ

英語表記
Word of Mouth Marketing
カテゴリ
ローカルSEO
難易度
★★☆(実務者向け)
関連サービス
MEO対策

口コミマーケティングとは、顧客が自分の言葉で他者に伝える状態を、意図してつくる取り組みのことです。「良いものを作れば自然に広がる」という話ではありません。広がるものには共通して、語る理由・語れる言葉・語る機会の3つが揃っています。逆に言えば、この3つのうちどれかが欠けているせいで語られていないだけ、という事業は珍しくありません。

Why it matters

満足している顧客は、放っておくと何も言わない

紹介で回っている会社に「どうやって集客していますか」と聞くと、たいてい「特に何もしていない」と返ってきます。しかし実際には、何かが起きて紹介が生まれています。それは施工後に必ず送っている報告書かもしれないし、担当者が名刺を2枚渡す習慣かもしれない。無自覚に成立している仕組みは、担当者が変わった瞬間に止まります。口コミマーケティングは、この無自覚な部分を見えるようにして、意図的に再現できる形にする作業です。

前提として押さえておきたいのは、満足は行動につながらないという点です。多くの顧客は、満足していても誰にも話しません。話すのは、期待との差が大きく動いたとき——想像よりずっと良かったか、悪かったか——か、話す機会が目の前にあったときだけです。だから「良い仕事をしていれば広がる」は半分しか当たっていません。良い仕事は語る理由になりますが、語る言葉と語る機会がなければ、そこで止まります。ここでいう「語れる言葉」とは、顧客が第三者に一言で説明できる形のことです。「なんか良かった」では伝わりません。「見積もり以外の追加請求が一切なかった」「予約が5分で終わる」のように、短く、具体的で、誰かの困りごとと結びつく形である必要があります。この言葉は事業者側が用意できます。

そして、日本で口コミ施策を設計するなら必ず確認すべき制度があります。2023年10月1日から、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法の規制対象になりました。事業者の広告であるにもかかわらず、一般消費者にそれが分からない表示は、不当表示として規制されます。事業者が第三者に依頼・指示して投稿させたものは、たとえ内容が事実であっても、広告であることが分かる表示がなければ問題になり得ます。規制の対象は表示を行った事業者であり、依頼を受けた投稿者ではなく発注側が責任を負う点も重要です。「PR」「広告」といった表示を明確に入れること、そもそも投稿内容を指示しないこと。運用ルールを決める前に、消費者庁が公開している運用基準の最新版を確認してください。

混同されやすい隣接概念も整理しておきます。クチコミ管理は、すでに投稿された評価を読んで返信し、改善に戻す運用のこと。リファーラルマーケティングは、紹介の仕組みを制度として設計すること。バイラルマーケティングは、拡散の速度と範囲に重点を置いた考え方です。口コミマーケティングはこれらを含む、より広い設計の話にあたります。

Our perspective

人が誰かに何かを勧めるとき、賭けているのは商品の質ではなく、自分の信用です。

顧客心理の視点で見ると、口コミが起きにくい本当の理由が見えてきます。誰かに何かを勧めるという行為は、勧めた側が責任を引き受けることです。紹介した相手がガッカリすれば、自分の見る目が疑われる。だから人は、確信が持てないものは勧めません。ここから導かれる実務上の要点は明確です。語ってもらうために必要なのは、良い体験そのものよりも、「これを勧めても外さない」と思える確かさです。値段が明快であること、対応が誰に当たっても同じであること、初めての人がつまずかないこと。この安定感が、勧める側の不安を下げます。もうひとつ、語る側にはささやかな見返りの心理もあります。役に立つ情報を持っている人だと思われたい、良いものを見つける目があると示したい。この心理に応えるには、顧客が語ったときに「教えてくれてありがとう」が返る状態をつくることです。紹介を受けたら、紹介してくれた人に結果を伝える。当たり前のようで、抜けていることがほとんどです。

仕組み化の視点では、3つを型にします。①語れる一言を、事業者側が用意する——自社の強みを、顧客が第三者に説明できる短さまで削ります。「丁寧な施工」ではなく「工事中の写真を毎日送ってくれる」。この一言は、打ち合わせやお礼のメールで繰り返し使い、顧客の語彙に移していきます。②語る機会を、業務の流れに固定する——最も語られやすいのは、成果が出た直後です。施工完了の報告時、初回の効果が見えた面談時、納品の翌日。この瞬間に、渡せるもの——紹介用のカード、共有できるリンク——が手元にあるかどうかで結果が変わります。「気が向いたら渡す」では続きません。③紹介の記録を残す——誰の紹介で誰が来たかを記録するだけで、紹介が集中している人が見えてきます。その人たちが自社の何を評価しているのかを聞けば、次に強化すべき点が分かります。一度この型を組めば、担当者が代わっても紹介は止まりません

AI活用の視点では、観測と下書きを任せられます。SNSや地図上の投稿に自社名がどう出ているかをまとめて収集し、顧客が実際に使っている言葉を抽出する——ここがいちばん効きます。事業者が思っている強みと、顧客が語っている強みは、多くの場合ずれています。顧客側の言葉が分かれば、それをそのまま「語れる一言」に採用できます。加えて、紹介のお礼メールやフォロー文の下書き、問い合わせ内容の分類も任せられます。ただし越えてはいけない線があります。AIに第三者を装った投稿文を作らせる、レビューの原稿を用意して顧客に投稿させる——これらは規制の対象になり得ます。AIが担当するのは、こちら側の言葉と、顧客の言葉を読む作業まで。ARGASのような追跡の仕組みがあれば、紹介経由で来た人がどのページを見て問い合わせたかも追え、紹介が実際に売上へつながっているかを数字で確認できます。

Diagram

図解:語られない理由は、3つのどれかが欠けているから

左は口コミが起きるための3条件です。ひとつでも欠けると、そこで止まります。右は越えてはいけない線と、測り方です。

満足しているだけでは、誰も何も言わない 語る理由・語れる言葉・語る機会。欠けた場所で止まる ① 語る理由 期待との差が動いた体験。そして「勧めても外さない」 という確かさ。勧める側は自分の信用を賭けている。 ② 語れる言葉 第三者に一言で説明できる形。「丁寧な施工」ではなく 「工事中の写真を毎日送ってくれる」。事業者が用意する。 ③ 語る機会 成果が出た直後。完了報告・初回の効果・納品の翌日。 その瞬間に、渡せるものが手元にあるか。 語られる状態になる 越えてはいけない線 2023年10月1日から、事業者の広告であることが一般消費者に 分からない表示は、景品表示法の規制対象になっている。 ・依頼して投稿させるなら「PR」等の明示が必要 ・責任を負うのは投稿者ではなく、依頼した事業者 運用基準は更新される。決める前に消費者庁の最新版を確認。 測り方(感覚で語らないために) 紹介経由の記録 — 誰の紹介で誰が来たかを残す 推奨度の指標 — 勧めたいと思われているかを聞く 言及の収集 — 顧客が実際に使っている言葉を集める 「良いものを作れば自然に広がる」は、半分しか当たっていない 良い仕事は①を満たすが、②と③がなければそこで止まる。無自覚に成立している紹介は、担当者が代われば消える。 紹介を受けたら、紹介してくれた人に結果を伝える。この一往復があるかどうかで、次の紹介が変わる。 勧める人が賭けているのは、自分の信用

Case studies

事例で見る:国内・海外

海外

米国FTCの推奨表示ガイド ── 「関係があるなら、必ず言う」

米国の連邦取引委員会(FTC)は、推奨・証言による広告について指針を公開しており、推奨する側と事業者の間に、報酬や無償提供など消費者が知らない関係がある場合、その関係を明確に開示することを求めています。開示は分かりにくい場所に小さく置くのではなく、消費者が見落とさない形で示す必要があるとされています。日本のステルスマーケティング規制と背景にある考え方は共通していて、問題にされているのは内容の真偽ではなく、判断の前提が隠されていることです。「本音で良いと思っている」ことと「開示が不要である」ことは別だ、という整理は実務でそのまま使えます。この線引きが社内で共有されていれば、インフルエンサーへの依頼も、顧客への投稿のお願いも、安全な形に設計できます。逆に共有されていないと、現場が善意で規制に触れる行為をしてしまいます。各国の指針や運用は更新されるため、施策を決める前にFTCおよび消費者庁の最新の公開資料を確認してください。

How to use

現場での使い方:5ステップ

  1. 規制の線を先に共有する広告であることが分からない表示は規制対象。責任は依頼した側にある。現場が善意で越えないよう、最初に全員で確認する。
  2. 顧客の言葉を集める既存顧客に「知り合いに説明するとしたら何と言うか」を聞く。自社が思う強みと、語られている強みはたいていずれている。
  3. 語れる一言に削る抽象語をやめ、第三者が再現できる具体まで落とす。打ち合わせやお礼の文面で繰り返し使い、顧客の語彙に移す。
  4. 語る機会を業務に固定する完了報告時、成果が見えた面談時、納品翌日。その瞬間に渡せるもの(説明カード・共有リンク)を手元に置く。
  5. 紹介を記録し、結果を返す誰の紹介で誰が来たかを残す。紹介してくれた人には必ず結果を伝える。この一往復が次の紹介を生む。
Related terms

関連用語

Summary

まとめ:語られる状態は、偶然ではなく設計でつくれる

口コミマーケティングは、顧客が自分の言葉で他者に伝える状態を意図してつくる取り組みです。満足しているだけでは人は語りません。必要なのは、語る理由(勧めても外さないという確かさ)、語れる言葉(第三者に一言で説明できる具体)、語る機会(成果が出た直後に渡せるものがある状態)の3つです。語られないのは質の問題ではなく、後ろの2つが用意されていないことがほとんどです。一方で、日本では2023年10月1日から、広告であることが分からない表示が景品表示法の規制対象になっており、責任を負うのは依頼した事業者側です。AIには顧客の言葉を読む作業と下書きを任せ、第三者を装う投稿には決して使わない。言葉と機会が揃えば、顧客は頼まれなくても自分から人に伝えはじめます。

関連サービス:MEO対策 — 語られる言葉の言語化から、クチコミ・紹介が生まれる導線の設計と運用までを継続して支援します。
カテゴリ:ローカルSEO

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