マーケティング用語集カテゴリ:SNS

マイクロインフルエンサー

Micro-Influencerまいくろいんふるえんさー

英語表記
Micro-Influencer
カテゴリ
SNS
難易度
★★☆(実務)
関連サービス
SNS運用サポート

マイクロインフルエンサーとは、おおむね数千から10万人程度のフォロワーを持つ発信者。区分の呼び名や人数の境目に統一された定義はなく、媒体や調査によって異なります。重要なのは数字そのものではありません。フォロワーとの距離が近く、話題が特定の領域に絞られているという性質のほうです。届く人数では大規模な発信者に及びませんが、届いた一人あたりの重さが違います。

Why it matters

届く人数と、届いたときの濃さは、逆方向に動く

まず区分の話を片付けておきます。ナノ、マイクロ、ミドル、メガといった呼び分けは業界で広く使われていますが、境界となるフォロワー数は媒体によってばらつきます。数千人から一万人程度をナノ、一万人から十万人程度をマイクロと呼ぶ整理が比較的よく見られますが、これは目安に過ぎません。数字で線を引くこと自体にはあまり意味がなく、実務で見るべきは性質です。フォロワーとの関係がどれだけ近いか、話している内容がどれだけ絞られているか。ここが判断の軸になります。

規模が大きくなるほど、届く人数は増えます。同時に、届いた人の関心はばらけます。フォロワーが百万人いる発信者のフォロワー全員が、同じ理由でフォローしているわけではありません。有名だから、なんとなく面白いから、以前見かけたから。関心の中心が拡散しているため、特定の商品への反応は薄まります。逆に規模が小さいと、フォロワーは何らかの明確な理由でその人を見ています。同じ地域に住んでいる、同じ趣味を持っている、同じ職種で参考にしている。フォロワー数が少ないほどエンゲージメント率が高い傾向があるという指摘が繰り返しなされるのは、この構造によるところが大きいと考えられます。ただしこれは平均的な傾向として語られるもので、個別の案件では発信者ごとの差のほうが大きくなります。数値の一般化には注意が必要です。

もう一つ、見落とされやすい違いがあります。反応が返る関係かどうかです。規模の大きい発信者は、コメント一つひとつに返信することが物理的に不可能になります。結果として、フォロワーにとってその人は「見る対象」になります。一方、規模が中程度までの発信者はコメントに返し、質問に答え、名前を覚えていることがあります。この状態のフォロワーにとって、その人は「知っている人」に近い存在です。推薦の重みが変わるのはここです。テレビに出ている人が良いと言ったことと、近所の詳しい人が良いと言ったことは、聞いたときの働き方が違います。

中小企業にとって現実的な理由もあります。費用です。規模に応じて依頼費用は上がるため、大規模な起用は一回で予算を使い切ります。しかも一回では終わりません。人は一度見ただけでは動かないからです。同じ予算で規模の小さい発信者に複数人依頼できれば、異なる角度から、複数回、別々の集団に届く形が作れます。地域に根ざした商売であれば、全国区の知名度よりも、その地域で見られていることのほうが直接効きます。ニッチマーケティングの考え方と相性が良いのは、このためです。

Our perspective

推薦の重みを決めるのは、何人に届いたかではなく、誰が言ったか。

顧客心理の視点で見ると、人が他人の推薦を受け取るときに働いているのは「この人は自分と同じ立場か」という判断です。生活の規模が違いすぎる相手の「これ良かったです」は、参考情報として処理されます。自分と近い条件の人が同じ場面で使っていると分かったときに、初めて自分ごとになります。同じ広さの部屋、同じ予算感、同じ地域、同じ悩み。マイクロインフルエンサーが効くのは、この近さが担保されやすいからです。もう一つ働いているのが、フォロワー側の警戒の薄さです。大規模な発信者の投稿は「仕事として受けたもの」という前提で読まれますが、規模が小さい相手の場合、フォロワーはその人が普段どんな暮らしをしているかを知っています。だから紹介された商品が生活の中に収まっているかどうかが見えます。逆に言えば、普段の投稿と噛み合わない商品を持ち込むと、その人の信用を削ることになります。届く相手が近いということは、外したときの傷も近いということです。商材とその人の生活が実際に重なるかどうかは、依頼前に確認すべき最重要事項になります。

仕組み化の視点では、単発の依頼ではなく、繰り返せる型として組み立てます。四つの工程です。①探す ── フォロワー数から入らず、自社の商品が登場しても不自然でない生活をしている人を探す。既存顧客のなかに発信している人がいないかを最初に確認するのが近道です。②確かめる ── コメント欄を読みます。会話が成立しているか、フォロワーが実在の関心を持っているか、過去に受けた依頼投稿がその人らしさを保っているか。フォロワー数では絶対に見えない部分がここに出ます。③小さく試す ── 最初から高額の依頼をせず、少人数に同じ条件で依頼し、反応の違いを見ます。誰が合うかは事前には分かりません。④広げて続ける ── 手応えのあった相手には継続して依頼し、ブランドアンバサダーのような長い関係へ移します。一度きりの紹介より、同じ人が使い続けている状態のほうが説得力が積み上がります。加えて、投稿で生まれた写真や文章は許諾を取ったうえで自社の素材として使い、反応の良いものは広告として配信します。依頼一件を、投稿一本で終わらせない設計が費用対効果を決めます。なお、対価を伴う依頼は広告にあたるため、PR表記などの明示が必要です。詳しくはタイアップ投稿を参照してください。

AI活用の視点では、探す工程と見極める工程が最も効きます。候補となる発信者の過去投稿をまとめて読み込ませ、話題の傾向、生活の様子、自社の顧客像との重なりを整理させる。コメント欄の文章を分類して、会話が成立しているか、内容の伴った反応があるかを判定させる。複数人に同時に依頼した場合は、投稿ごとの反応と流入を並べて、どの切り口が効いたかを比較整理させる。手作業では数十人の候補を読み込むだけで数日かかりますが、候補を広く見て絞る作業こそが選定の精度を決めるため、ここを機械に任せられる意味は大きいと言えます。ただし最終判断は人が行うべきです。その人の投稿に自社の商品が置かれた光景を想像して違和感がないか、という判断は、データではなく感覚の領域に属します。加えてARGASのような追跡の仕組みを組み合わせると、どの発信者の投稿から来た人が問い合わせに至ったかが残るため、フォロワー数ではなく事業への寄与で次の依頼先を決められるようになります。

Diagram

図解:規模を上げると届く人は増え、届き方は薄くなる

届く人数と、届いたときの濃さは逆方向に動きます。予算が限られる場合、一人の大きな発信者より、近い距離の発信者を複数人という選び方が現実的になります。

規模を上げると届く人は増える。同じだけ、届き方は薄くなる この帯が狙い目 届く人数(リーチ) 距離の近さ・反応の濃さ ナノ マイクロ ミドル メガ ← フォロワー規模 小 大 → 区分の呼び名も人数の境目も、統一された定義はない。おおむね1万〜10万人規模をマイクロと呼ぶ整理が多いが、あくまで目安。 差:同じ予算なら「一人に大きく」より「近い相手に複数回」のほうが、届いた後に残る。 選び方を型にする。誰が合うかは、事前には分からない ① 探す フォロワー数から 入らない。まず既存 顧客の中を見る ② 確かめる コメント欄を読む。 会話が成立して いるかを見る ③ 小さく試す 少人数に同じ条件で 依頼し、反応の違い を比べる ④ 広げて続ける 手応えのある相手と 継続。素材と広告に 転用する 対価を伴う依頼は広告。PR表記などの明示が要る。表記させる責任は依頼した側にある。 遠くの大きな声より、近くの確かな一言

Case studies

事例で見る:国内・海外

海外

大規模起用一辺倒からの揺り戻し ── 規模と反応は比例しないという認識

海外の消費財やアパレルの分野では、当初は著名人や大規模なインフルエンサーの起用が中心でした。その後、多くのブランドが規模の小さい発信者を複数起用する形へ比重を移していきます。背景として広く指摘されるのは、フォロワー規模が大きくなるほど投稿への反応率は下がる傾向がある、という観察でした。さらに、フォロワーの購入や偽装アカウントの問題が表面化したことで、公表されているフォロワー数がそのまま影響力を意味しないという認識が広がりました。実際、現在の選定実務では、フォロワー数よりもコメントの中身、投稿の一貫性、フォロワーの所在地といった項目が重視されます。プラットフォーム側もクリエイター向けの管理機能や、投稿をそのまま広告配信できる仕組みを整備し、複数の発信者を並行して起用しやすい環境が整いました。ただし、規模別のエンゲージメント率については調査主体や対象カテゴリによって数値が大きく異なるため、ここでは具体的な数字には触れません。傾向として語られていること以上の断定は避けるべき領域です。

How to use

現場での使い方:5ステップ

  1. 既存顧客の中から探し始めるすでに買っている人、来店している人の中に発信者がいないかを最初に確認する。生活が重なっていることが確認済みの相手は、外部から探すどの候補よりも確実性が高い。
  2. フォロワー数ではなくコメント欄を読む会話が成立しているか、反応が絵文字だけで終わっていないか、フォロワーの層が商圏や顧客像と重なるか。数字に出ない差がここに出る。過去の依頼投稿が普段の文体を保っているかも見る。
  3. その人の生活に商品が置ける相手だけを選ぶ噛み合わない商品を持ち込むと、相手の信用を削り、フォロワーにもすぐ見抜かれる。距離が近いということは、外したときの傷も近いということ。
  4. 予算を分けて、同じ条件で複数人に試す誰が合うかは事前には分からない。四〜五人に条件を揃えて依頼し、着地ページを共通にして計測用パラメータを人ごとに変える。比べられる形にしてから出す。
  5. PR表記を明示し、続く相手を見つける対価を伴う依頼は広告なので、気づける位置に表記させる。責任は依頼した側にある。反応の良かった相手とは継続の関係へ移し、生まれた素材は許諾範囲で自社の広告や資料に転用する。
Related terms

関連用語

まとめ

まとめ:近い相手の一言が、いちばん遠くまで残る

マイクロインフルエンサーとは、おおむね数千から10万人規模のフォロワーを持つ発信者を指します。区分の境目に統一された定義はないため、数字で線を引くことにはあまり意味がありません。見るべきは性質です。フォロワーとの距離が近いか、話題が絞られているか、コメント欄で会話が成立しているか。届く人数と届いたときの濃さは逆方向に動くので、予算が限られる中小企業ほど、一人に大きく払うより近い相手に複数回という選び方が現実的になります。進め方は四つです。既存顧客の中から探し、コメント欄を読んで確かめ、条件を揃えて少人数に試し、手応えのあった相手と続ける。誰が合うかは事前には分からないので、比べられる形にしてから出すことが前提になります。候補を広く読み込んで絞る作業はAIに任せられますが、その人の投稿に自社の商品が置かれた光景に違和感がないかという判断は人が行うべきです。そして対価を伴う依頼は広告であり、明示する責任は依頼した側にあります。自分と近い誰かが実際に使っている、という事実が積み上がる状態が、顧客が自分の意思で選ぶ仕組みになります。

関連サービス:SNS運用サポート — 発信者の探し方と見極めの基準づくりから、依頼条件の設計、複数人での検証と継続的な関係づくりまでを支援します。
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