WordPressを放置するとどうなる?見落とされがちな3大リスク
「ホームページは作ったけれど、その後は特に何もしていない」という中小企業の経営者や担当者は少なくありません。しかし、WordPressを放置することは、玄関の鍵をかけずに外出するのと同じくらい危険な行為です。実際、日本国内でWordPressを使用しているサイトの約40%以上が何らかのセキュリティリスクを抱えた状態で運営されているとも言われています。
WordPressは世界中のWebサイトの約43%で使用されているCMS(コンテンツ管理システム)ですが、それゆえにハッカーや悪意ある第三者の格好のターゲットになっています。放置された状態では、あなたのサイトが知らぬ間に被害を受けていても気づかないことすらあります。
ここでは、WordPressを放置することで発生する3大リスクを詳しく解説します。
リスク①:セキュリティの脆弱性による不正アクセス
WordPressのコアプログラムやプラグインには、発見された脆弱性を修正するためのアップデートが定期的に配信されます。しかし、アップデートを放置していると、既知の脆弱性がそのまま残り続け、悪意ある攻撃者に侵入口を提供してしまいます。セキュリティ企業の調査によると、WordPressサイトへの攻撃の約97%は自動化されたボットによるものであり、サイトの規模や知名度に関係なく無差別に攻撃が行われています。
リスク②:サイトパフォーマンスの低下とSEOへの悪影響
WordPressのアップデートには、セキュリティ修正だけでなくパフォーマンスの改善も含まれています。古いバージョンのまま放置すると、サイトの表示速度が低下し、Googleの検索順位にも悪影響を及ぼします。Googleは2021年にCore Web Vitalsを正式な検索ランキング要素として採用しており、サイトの表示速度が1秒遅くなるだけでコンバージョン率が最大7%低下するというデータも存在します。
リスク③:データ消失とビジネスへのダメージ
適切なバックアップ体制を整えないままサイトを放置していると、ハッキングや不具合が発生した際にデータを復旧できなくなる可能性があります。顧客情報や会社情報が失われるだけでなく、サイトが長期間停止すると、1日あたりの機会損失は中小企業でも数万円〜数十万円に及ぶケースもあります。

実例で解説!放置されたWordPressサイトで起きた被害事例
「まさか自分のサイトが…」と思っている経営者ほど危険です。実際に放置されたWordPressサイトで起きた具体的な被害事例を見ていきましょう。
被害事例①:製造業A社のケース|ECサイトが改ざんされ顧客情報が流出
従業員30名の製造業A社は、自社製品を販売するWordPressベースのECサイトを運営していました。サイト構築後、約2年間にわたってWordPress本体とプラグインのアップデートを一切行わずに放置。ある日突然、顧客から「あなたのサイトで購入したあとクレジットカードが不正利用された」という連絡が相次ぎました。
調査の結果、古いプラグインの脆弱性を突いた攻撃によりサイトが改ざんされ、クレジットカード情報を抜き取るスキミングコードが埋め込まれていたことが判明。被害顧客数は200名以上に上り、対応コストと信頼回復のための施策で総額500万円以上の損失を被りました。
被害事例②:サービス業B社のケース|サイトが踏み台にされスパムメール送信に悪用
従業員15名のコンサルティング会社B社は、問い合わせフォームを設置したコーポレートサイトをWordPressで運営していました。担当者の退職後、誰も管理しない状態が1年以上続いた結果、ハッカーにサーバーへの不正アクセスを許してしまいます。
B社のサイトはスパムメール送信の踏み台として利用され、同社のドメインはメールブラックリストに登録されてしまいました。その結果、正規のビジネスメールが相手先に届かないという深刻な問題が発生。取引先との重要な商談メールも届いておらず、数件の契約機会を失いました。
被害事例③:小売業C社のケース|フィッシングサイトに改ざんされGoogleからペナルティ
地域密着型の小売業C社は、地域No.1の検索順位を誇るWordPressサイトを運営していました。しかし、3年以上アップデートを放置した結果、サイトが改ざんされ、金融機関を装ったフィッシングサイトのページが大量に作成されました。
Googleのセーフブラウジング機能がこれを検出し、「このサイトは危険です」という警告がブラウザに表示されるようになりました。地域での検索上位を維持していたサイトはGoogleからペナルティを受け、検索順位は一気に圏外へ。月間1万PVあったサイトへのアクセスは98%減少し、問い合わせもゼロになってしまいました。復旧作業と検索順位の回復には約6ヶ月の期間と多大なコストがかかりました。
なぜWordPressは狙われやすいのか?脆弱性の仕組みをわかりやすく解説
WordPressが攻撃者に狙われやすい理由を理解することで、より効果的な対策が取れるようになります。

オープンソースであることの功罪
WordPressはオープンソースのソフトウェアです。誰でもソースコードを閲覧・利用できるため、世界中の開発者が改善に貢献できる一方で、攻撃者もそのコードを分析して脆弱性を探すことができます。新しい脆弱性が発見されると、その情報はセキュリティコミュニティで共有されますが、同時に悪意ある攻撃者にも伝わります。WordPress開発チームは脆弱性を発見次第、速やかにパッチ(修正プログラム)を配布しますが、サイト管理者がアップデートを適用しなければ、その脆弱性は放置されたままになります。
プラグインとテーマが攻撃の主要な入口
WordPressのセキュリティインシデントのうち、約56%がプラグインの脆弱性に起因しているというデータがあります。WordPress本体はコアチームによって厳格に管理されていますが、プラグインやテーマはサードパーティの開発者によって作られており、品質やセキュリティ対応の水準にばらつきがあります。
特に問題なのは、開発者がサポートを終了した「放棄されたプラグイン」です。このようなプラグインは脆弱性が発見されても修正されることはなく、インストールしたままにしておくことは非常に危険です。
自動化された攻撃ツールの存在
現代のサイバー攻撃は、人間が手動で行うものではありません。1日あたり数万回以上の自動攻撃がWordPressサイトに対して行われているという報告もあり、攻撃ツールは既知の脆弱性を持つサイトを自動的にスキャンして攻撃を仕掛けます。サイトの規模や知名度は関係なく、脆弱性さえあれば攻撃対象になります。
よくある攻撃手法
- ブルートフォース攻撃:管理画面のログインページに対して、無数のパスワードの組み合わせを試みる攻撃
- SQLインジェクション:データベースへの不正なコマンドを送り込み、情報を盗み出す攻撃
- クロスサイトスクリプティング(XSS):悪意のあるスクリプトをサイトに埋め込み、訪問者のブラウザで実行させる攻撃
- ファイルインクルード攻撃:サーバー上の任意のファイルを実行させる攻撃
- マルウェアの埋め込み:サイトに悪意のあるコードを埋め込み、訪問者を危険にさらす攻撃
中小企業が今すぐ実践すべきWordPressのセキュリティ対策5選
WordPressのセキュリティ対策は、難しく考える必要はありません。以下の5つの対策を実践するだけで、リスクを大幅に低減できます。
対策①:WordPress本体・プラグイン・テーマを定期的にアップデートする
最も基本的かつ重要な対策が、アップデートの定期的な適用です。WordPressの管理画面にログインし、「ダッシュボード」→「更新」から最新バージョンへの更新が可能です。
ただし、アップデートを適用する前には必ずバックアップを取ることが重要です。プラグイン同士の互換性問題などにより、アップデート後にサイトが正常に表示されなくなるケースもあるためです。月に1回以上のアップデート確認を習慣化しましょう。また、使用していない不要なプラグインやテーマは削除することも重要です。インストールされているだけで脆弱性の対象になります。
対策②:強力なパスワードと二段階認証の設定
WordPressの管理画面(/wp-admin)への不正アクセスを防ぐために、12文字以上の英数字・記号を組み合わせた強力なパスワードを設定してください。「admin」「password」「123456」といった単純なパスワードは、ブルートフォース攻撃によって数分で突破されてしまいます。
さらに、二段階認証(2FA)を設定することで、パスワードが漏洩した場合でも不正アクセスを防ぐことができます。「Google Authenticator」や「Two Factor Authentication」などのプラグインを使用することで、スマートフォンを使った二段階認証を簡単に実装できます。
対策③:セキュリティプラグインの導入
WordPressにはセキュリティ機能を強化するためのプラグインが数多く存在します。以下のようなプラグインの導入を検討してください。
- Wordfence Security:ファイアウォール機能、マルウェアスキャン、ブルートフォース攻撃対策など多機能なセキュリティプラグイン
- SiteGuard WP Plugin:日本語対応で、管理画面へのアクセス制限、ログイン試行制限、画像認証などを提供
- iThemes Security:ファイル変更の検出、データベースのバックアップ、ブルートフォース攻撃対策など
ただし、セキュリティプラグインを入れただけで安心してしまうのは禁物です。プラグイン自体も定期的なアップデートが必要です。
対策④:定期的なバックアップの実施
万が一の被害に備えて、定期的なバックアップは必須です。バックアップはデータベースとファイルの両方を、サーバーとは別の場所(クラウドストレージなど)に保存することが重要です。
「UpdraftPlus」や「BackWPup」などのプラグインを使用することで、バックアップを自動化できます。少なくとも週1回、重要なサイトであれば毎日のバックアップを推奨します。バックアップを取っておけば、たとえ被害に遭っても迅速に復旧できます。
対策⑤:SSL証明書の設置とログインURLの変更
サイト全体をHTTPS化するSSL証明書の設置は、通信の暗号化によってデータの盗聴を防ぐための基本対策です。現在、多くのレンタルサーバーでは無料のSSL証明書が提供されています。Googleもhttpsサイトを優遇する方針を打ち出しており、SEO面でも有利です。
また、WordPressのデフォルトのログインURL(/wp-admin または /wp-login.php)は攻撃者に知られているため、「SiteGuard WP Plugin」などを使ってログインURLを変更することをお勧めします。ログインURLを変更するだけで、自動化された攻撃ツールからの攻撃の多くを防ぐことができます。
| 対策 | 難易度 | 効果 | コスト |
|---|---|---|---|
| 定期的なアップデート | 低 | 高 | 無料 |
| 強力なパスワード・二段階認証 | 低 | 高 | 無料 |
| セキュリティプラグインの導入 | 中 | 高 | 無料〜有料 |
| 定期的なバックアップ | 低 | 高 | 無料〜有料 |
| SSL設置・ログインURL変更 | 中 | 中〜高 | 無料〜低コスト |
自社で対応が難しい場合の選択肢|保守・運用サービス活用のすすめ
「WordPressのセキュリティ対策が重要なのはわかった。でも、社内にWeb担当者がいない」「ITの専門知識がなくて自分でできるか不安」という方は少なくありません。特に中小企業では、Web担当者が他の業務と兼任していることが多く、定期的なメンテナンスに十分な時間を割けないケースがほとんどです。
そのような場合は、WordPressの保守・運用サービスをプロに外注するという選択肢を検討しましょう。
保守・運用サービスでカバーできる内容
- WordPress本体・プラグイン・テーマの定期アップデート:専門家が互換性を確認しながら安全に更新
- 定期バックアップの実施と管理:万が一の際にも素早く復旧できる体制の構築
- セキュリティ監視とマルウェアスキャン:異常を早期検知し、被害を最小限に抑える
- サーバー環境の最適化:PHP・MySQLのバージョン管理、パフォーマンスチューニング
- 緊急時の対応サポート:不正アクセスや改ざんが発生した際の迅速な対応
保守サービスにかかるコストと費用対効果
WordPressの保守・運用サービスの費用は、提供される内容によって異なりますが、一般的に月額1万円〜5万円程度が相場です。「月に数万円は高い」と感じるかもしれませんが、万が一セキュリティ事故が発生した場合の対応コストを考えると、非常に合理的な投資です。
先ほどの被害事例でご紹介したA社のように、セキュリティ事故後の対応に500万円以上かかるケースもあります。保守サービスへの月額投資は、そのような大きなリスクへの保険と考えれば、むしろコストパフォーマンスは高いと言えます。
Web制作会社への相談がおすすめな理由
保守・運用サービスを検討する際には、WordPressの構築から運用まで一貫して対応できるWeb制作会社への相談をお勧めします。サイトの構造を熟知したプロが対応することで、より適切かつ効率的な保守が実現します。
また、保守・運用の過程でサイトの改善提案や新機能の追加なども相談しやすく、ビジネスの成長に合わせてサイトを育てていくことが可能です。まずは現在のサイトのセキュリティ状態を診断してもらうことから始めてみましょう。多くのWeb制作会社では無料相談を受け付けています。
サービスを選ぶ際のチェックポイント
- WordPress専門の技術者が在籍しているか
- アップデート作業前のバックアップ・動作確認が含まれているか
- セキュリティインシデント発生時の緊急対応が含まれているか
- 月次などの定期レポートで作業内容を報告してもらえるか
- 契約期間の縛りや解約条件が明確になっているか
WordPressの放置は、サイバー攻撃のリスクだけでなく、サイトのパフォーマンス低下、SEOへの悪影響、そして最終的にはビジネスの信頼性や売上に直結する問題です。「うちは小さい会社だから大丈夫」という油断は禁物です。攻撃は規模に関係なく自動化されており、脆弱性のあるサイトはすべてターゲットになりえます。
今この瞬間から、WordPressの管理・運用に真剣に向き合うことが、あなたのビジネスを守る最善の方法です。自社でのセキュリティ対策に不安を感じているなら、ぜひ一度プロへの相談を検討してみてください。
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投稿者プロフィール
- Webマーケティングコンサルタント
-
戦略的Webサイト制作会社
株式会社イーエックス 代表取締役
広告関連企業にてトップセールス&トップマネージャーを経験後、経営コンサルティングファームに転職。
コンサルティングファームで企業の繁栄を考え続けたらWebマーケティングの世界にたどり着きました。
その後、株式会社イーエックスを設立し日本の経済を支える中小企業の皆さんが既得権や大企業と戦うためのWebマーケティング戦略の策定や戦略的SEO対策を提供しています。





